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「タートルアイランド~『亀の島』の不思議な人々」

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「タートル・アイランド~『亀の島』の不思議な人々」vol.1
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*第1回はニューヨーク州周辺に居住する「イロコイ族」をフォーカス!

1978年、『ロンゲスト・ウォーク』におけるイロコイ族。 *↑1978年、『ロンゲスト・ウォーク』におけるイロコイ族。©宮田雪

【イロコイ族(ニューヨーク州周辺)】text by:越川威夫(Takeo Koshikawa)

イロコイ族とは、NHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」の中に出てくるイロコワ族の事。私は、1978年のインディアン大陸横断行進"ロンゲスト・ウォーク"で、このイロコイ族の人々にワシントンDCで出会い、彼らの民主主義の概念が米国政府の独立のみならず、国際連盟や国際連合にも影響を与えていたという事実を知って大変驚いた。イロコイ族は、六部族連合とも言い、18世紀から続く共和制の部族連邦で、その前身の五部族連合は、何と11世紀から続いており、部族の女性リーダー達(クランマザー)が強い決定権を持つ伝統的母系社会である。そのクランマザー達が、男性チーフを合議制で選ぶのであるから非常に興味深い。実際、私は20年ほど前にクランマザーに2度ほどインタビューしたことがあり、そのビデオは当時日本の男性社会に辟易していたキャリアウーマン達に大好評であった。イロコイ族の母系社会は、近代米国のフェミニズムに多大な影響を与えており、後の女性参政権に繋がって行くのだからとても意義深い。

1978年、オノンダガのクランマザー*↑1978年、オノンダガのクランマザー。©宮田雪

ちなみに、イロコイ族の連邦形成は、ピースメーカーとして知られるデガナヴィダとハイアワサが、休戦と各部族の連合の必要性を説いたところから始まった。イロコイ族は、東部森林地帯特有のロングハウス(長方形の共同居住空間)に居住して来た事から、ホーデノショーニー「ロングハウスの民」とも言われてきた。現在はニューヨーク州を中心にカナダのオンタリオ、ケベック州他にも分散し、西からセネカ、タスカローラ、カユーガ、オノンダガ、オナイダ、モホークの全部で六部族となる。人口は約9万人、北米では7番目に大きな部族である。北東に居住するモホークは、昔はマンハッタンの高層ビルで働く鳶職で有名であった。命がけの一番高い現場では、いつもモホーク族と日系人だけだったと以前聞いた事があり親近感を感じていた。

その後、モントリオール近くのモホークのコミュニティーを訪ねた際、非常に温かく自由の気風がみなぎっていたのが大変印象的であった。また、タスカローラを訪ねた際、私は頭痛が酷く、そこの名物メディンスンマンである、マッドベアーに秘薬をもらい一瞬の内に良くなった事があった。その際、マッドベアーに、「ところで、先ほどの薬は何ですか?」と尋ねたところ、「あれは普通の水さ、でもお祈りしたから良く利いただろう!」と言われ、半分だまされた様な気分になったものの、何となく愉快になった事を今でも思い出す。どうも、インディアンと関わると、今までの自分の常識が悉く崩れて行くのに驚くとともに、自分も意識改革をしている様な爽快感を感じてしまうのだから面白い。

1988年7月、日本と非常に縁の深いオジブエ族のデニス・バンクスらが提唱し、日本で初めて"セイクリッドラン/大地と命のためのランニング"と言う核廃絶の祈りの運動が行われた。その際、イロコイとホピ族の人達が、奇跡的に米国パスポートでなく、独自に製作したパスポートで日本入国を果たす事が出来たのだ。実は、私はその3ヶ月前に英国オックスフォード大学の平和会議に、イロコイとホピ族の人達に同行し、欧州各国が彼らのパスポートを目の前で受け入れた事に驚嘆し、日本政府もいつしか受け入れてくれる事を切に願っていた。イロコイ族は一種の独立国家として治外法権もあり、デニス・バンクスが1983、84の約2年間、FBIから逃れてオノンダガに亡命していた事があるほどだ。

2008年、ロンゲスト・ウォーク2、ホワイトハウス前のインディアン集会*↑2008年、ロンゲスト・ウォーク2、ホワイトハウス前のインディアン集会。©越川威夫

最後に、イロコイ族は米国の大統領制と憲法設定にも深く関係している事もお伝えしたい。初代ジョージ・ワシントンから、第36代リンドン・ジョンソン大統領に至るまで、約200年もの間、米国大統領はイロコイ族を表敬訪問したそうである。実際、米国はイロコイ族のシンボルである白頭鷲も正式に国鳥に採用している。なお、100ドル札で有名な政治家、ベンジャミン・フラクリンは、国鳥に七面鳥を採用したかったそうである。もし、米国の国鳥が七面鳥になっていたら、アメリカ人も今日ほど多くの七面鳥を食べなかったに違いないと思っているのは、私だけであろうか。

イロコイ族は民主主義を早期に確立した不思議な人々であるが、イロコイ族を理解したアメリカ建国の人々もまた不思議な人々である。

(*イロコイ族については、デニス・バンクス『死ぬには良い日だ』(三五館)、第23章オノンダガ・ネーションの項をご参照のほど)

オール・マイ・リレーションズ(全ての活けとして生きるものに捧ぐ)

越川 威夫(Takeo Koshikawa)
カリフォルニア州・サンラファエル在住。
映画制作者/ナワ・カミッグ・インスティチュート(デニス・バンクスらのNPO)アドバイザー/ピアザトレーディング株式会社役員。
ネイティヴ・アメリカンと長年にわたり交流を持ち、その文化に造詣が深い。
デニス・バンクスの自伝『死ぬには良い日だ』(2010年;三五館発行)共訳者。
ドキュメンタリー映画『死ぬには良い日だ』、『ナワカミッグ・インディアンドラムは鳴り止まず』他プロデューサー。


※第2回はワンパノアグ族(マサチューセッツ州)です。ご期待下さい!

(本コラムは楽天市場レイトレイシー原宿表参道店メルマガ会員向けに2011年06月30日配信されたものです)

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